アカウンティング・スクール特集 大学別レポート第2弾は、10月30日に行われた明治大学大学院会計専門職研究科の説明会の内容をご紹介します。明治大学は、会計学に関して長い伝統をもっており、学界でも1つの学派を形成しています。また、1948年に設立された明治大学経理研究所では、公認会計士試験や簿記検定のためのコースを設けており、そこから多くの職業会計人を輩出しています。このような点だけでも大変興味深い明治大学のアカウンティング・スクールはどのようなものか。さっそく内容に入っていきたいと思います。 |
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名称
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明治大学大学院会計専門職研究科会計専門職専攻 |
定員
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入学定員80名(収容定員160名) |
入試概要
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一般入学試験 |
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募集人員:60名程度 |
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日程 : |
出願期間 |
2005年1月11日〜18日 |
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入学試験日 |
2005年2月6日 |
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合格発表日 |
2005年2月9日 |
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入学手続期間 |
2005年2月10日〜17日 |
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学内選考試験 |
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募集人員:
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20名程度 |
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日程 :
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一般入学試験と同様 |
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選抜方法
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・ 一般入学試験
(1)必須科目:簿記・原価計算
(日商簿記検定2級程度を基礎とした応用問題)
(2)選択科目:財務会計論,管理会計論,監査論,会計英語から1科目選択
(大学卒業程度)
※一定の要件を満たすものは、選択科目の試験を免除する
・ 学内選考試験
簿記・原価計算(日商簿記検定2級程度を基礎とした応用問題) |
学費
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入学金 :
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270,000円 |
授業料 :
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1,200,000円 |
教育充実費 :
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230,000円 |
諸会費 :
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2,500円 |
合計額 :
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1,702,500円 |
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問合せ先
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明治大学大学院事務局 TEL:03-3296-2397
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今回の説明会は、7月に引き続き第2回目でしたが、約200人ほどの参加者がおり、特に女性が目立ちました。説明会はすべて明治大学会計大学院設置準備委員長である山浦教授がお話しをされました。 |
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1, 明治大学会計大学院の理念および教育目標 |
まず、会計大学院の理念ですが、これは『企業会計の専門職業人としての高度な知識、スキル、論理的かつ倫理的判断力を有する人材を育成し、社会の発展に寄与すること』というものを挙げています。これは様々な背景や含蓄があるものと考えられます。現在、会計は、社会のファンダメンタルズとして重要な位置づけになってきていること。その中で、会計を扱える人間が少ないこと、そしてその会計は高い専門性および社会とのインターフェイス性が要求されること等から、この理念が必然的に生まれてきのではないかと思います。そしてこの理念の下に、教育目標として掲げている標語は、『会計の知と技と心で世界に羽ばたけ!』というものです。これは次の4点で説明できます。すなわち、(1)会計の体系的な知識を教育する、(2)会計の高度なスキルを身につける、(3)会計の論理的思考力と倫理的判断力を養う、(4)会計職業人として世界を舞台に活躍できる人材を育てる、というものです。(4)については、のちに述べますが、明治大学会計大学院が他校と差別化を図ろうとして、力を入れているものです。
このような理念や教育目標と新公認会計士試験制度がドッキングして、次で述べる教育カリキュラムが生まれるのです。
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2, 明治大学会計大学院の教育カリキュラム |
明治大学会計大学院の教育カリキュラムは、3本の柱を持っています。すなわち、(1)会計職業人としての高度な専門性、(2)会計業務の国際化・IT化に対応した科目の設置、(3)新公認会計士試験制度に対応したカリキュラム、です。この中でも特に力を入れているのが(2)であり、カリキュラムの中には『国際会計系』というものが置かれています。これは、国際会計基準や諸外国の会計基準を学ぶものですが、その他にも『国際会計研修プログラム』というものを設けています。これは、国際会計系の科目を履修し、学内における専門英語の研修後、カナダのヨーク大学シューリック校(MBA)で国際会計・国際監査研修・専門英語・会計事務所研修を行うというものです。この短期研修は、2年次の夏期に行われます。これは将来、グローバルに仕事をしたいと考えている方にとっては、格好のカリキュラムなのではないかと思います。明治大学会計大学院を修了後、わが国の公認会計士の資格だけでなく、米国公認会計士をはじめとして海外の国家資格を取得し、それを生かして活躍するという夢なども広がってきます。
また、IT教育という点でも特徴がみられます。それは、(株)オービックとの共同プログラムによる実践的IT会計の講義です。これは、(株)オービックの『OBIC7ex』という東京三菱銀行、NTT、日立製作所等、大手企業が採用する会計情報システムを実際に使い、スキルを身に付けていくというものです。このようなスキルが将来生きてくることは、皆さんも容易に想像できるのではないかと思います。
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3, 明治大学会計大学院の教育設備 |
院生生活では、その環境はとても重要です。教育設備以外でも、立地や学食等も重要だということが院生になって初めてわかる人も少なくないと思います。教育設備として重要なものの1つとして、図書館が挙げられるでしょう。明治大学の中央図書館では、127万冊の蔵書をはじめ、様々な資料を揃えています。また、院生の共同研究室があり、インターネットに常備接続可能な座席が1人1座席割当てられます。そして、この共同研究室や授業が行われる教室が入っているのが2004年4月に稼動を始めた『アカデミーコモン』という建物です。説明会もこの建物で行われたのですが、驚いた、という感想しか出てきません。受験を希望される方は、是非、一度訪れてみるのが良いでしょう。さらに、公認会計士試験対策として、授業以外にも冒頭で述べた明治大学経理研究所を利用できるのも大きな魅力です。 |
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4, 明治大学会計大学院の入試 〜KALSからのアドバイスも含めて〜
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最後に、入試に関して説明したいと思います。説明会では、一般入学試験の選択科目に関する模擬問題が配られました。問題を見る限り、とてもオーソドックスな問題であるといえます。特徴としては、財務会計論、管理会計論および監査論に関しては、論述が2題、そして用語説明が4つでした。実際の入試でこのパターンの出題がされるのかは定かではないですが、少なくとも、ある程度の論述対策を練っていれば、用語説明もカバーできるのでしょう。現行の公認会計士試験の勉強をされている方にとっては、少し簡単に感じられるかもしれません。また、会計英語ですが、これは英語で期末の貸借対照表を修正項目に従って作成するというものと、簡単な会計に関する英文の和訳でした。これに関して山浦教授は、もう少し難しいものを出題する、とおっしゃっていましたが、前者の問題に関しては英文会計を解いたことがある方ならそんなに難しくないのではないかと思います。また、後者の問題に関しては、大学院受験の英語は、特にテクニカルタームに配点がきていると考えられます。そこを忠実に和訳するという意味で、やはり英文会計をやったことがある方で、多少の英語力さえあれば満点も不可能ではないかと思います。また、必修科目の簿記・原価計算に関してですが、日商簿記2級を基礎とした『応用問題』という文言が気になります。これについては、原価計算をさせたうえで、投資意思決定等の分析をさせる問題等が考えられますが、日商簿記2級の勉強をしっかりしておくことが応用問題を解く際の最大の武器になるので、そちらに力を入れればよいのではないかと思います。出願書類の1つに志望理由書がありますが、500字程度という大変少ない字数になっています。自分の10年後、20年後を想像し、その夢を達成するツールとしての明治大学会計大学院の位置づけを明確にし、簡潔にまとめることが要求されるのではないかと考えられます。 |
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