アカウンティング・スクール特集 大学別レポート第4弾は、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科アカウンティング専攻について紹介したいと思います。法政大学は、大学改革に熱心で、ここ数年、たくさんの研究科を開設しています。その一環としてアカウンティング・スクールをも開設するわけですが、他大学の有名な教授および著名な実務家を専任、非常勤として招き、万全体制で来年度を迎えようとしています。では、さっそくその内容についてご紹介していきたいと思います。 |
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名称
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法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科アカウンティング専攻
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定員
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入学定員50名程度 |
入試概要
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・ AO入試(学内選考を含む) |
募集人員:20名程度 |
日程 :出願期間 2004年11月4日〜12日 |
合格発表日(書類選考) 2004年11月19日 |
入学試験日(面接試験) 2004年11月28日 |
合格発表日(面接試験) 2004年12月6日 |
入学手続期間 2004年12月7日〜14日 |
・ 一般入試 |
募集人員:30名程度 |
日程 :出願期間 2005年1月8日〜14日 |
入学試験日(筆記試験) 2005年1月23日 |
合格発表日(筆記試験) 2005年1月26日 |
入学試験日(面接試験) 2005年1月30日 |
合格発表日(面接試験) 2005年2月3日 |
入学手続期間 2005年2月4日〜14日 |
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選抜方法
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・ AO入試 |
一次試験:書類選考(志望理由書等) |
二次試験:口述試験 |
・ 一般入試 |
一次試験:会計学(論文式) |
※財務会計から3問、管理会計から1問出題し、その中から2問選択 |
二次試験:口述試験 |
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学費
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入学金 : 自校:135,000円、他校:270,000円 |
授業料 : 1,000,000円 |
教育充実費 : 自校:170,000円、他校:340,000円 |
合計額 : 自校:1,305,000円、他校:1,610,000円 |
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問合せ先
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法政大学大学院事務部専門職大学院課 TEL:03-5228-1853
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1, 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科とは? |
法政大学は、今年度から専門職大学院としてイノベーション・マネジメント研究科イノベーション・マネジメント専攻を開設しました。ここは、1年制の専門職大学院で、修了すると、MBAまたはMBITを取得できます。この研究科の別の専攻として、来年度から会計専門職大学院、すなわちアカウンティング専攻を開設するのです。こちらは、イノベーション・マネジメント専攻とは異なり、2年制です。当然のことながら、他大学の会計専門職大学院と同様、当該専攻を修了すると、公認会計士試験の短答式試験の一部科目免除が受けられ、会計修士(専門職)を取得できます。 |
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2, カリキュラムについて |
カリキュラムは、基本科目、展開・応用科目および関連科目の3つに大別されます。基本科目とは、新公認会計士試験において必須科目となっている財務会計、管理会計、監査論、企業法、租税法に関する内容で基本的なものを授業科目としています。また、理論的な思考力を養うための演習と論文作成の科目もあります。展開・応用科目とは、基本科目から展開してきた分野や実践への応用となる分野に関する科目です。ケーススタディといった応用科目、環境会計論や公会計論といった会計の展開分野に関する科目、英文会計などの英語力をつける科目、他に監査と情報技術、財務分析などがあります。関連科目とは、新公認会計士試験では選択科目となっている授業科目です。民法、経営学、経済学、統計学といった、会計専門職に必要な基礎的な素養を養うために必要な授業科目です。これらの科目を上手く組み合わせ、公認会計士試験に挑むことになるのですが、HP上のQ&Aでは、たとえ公認会計士試験の受験科目と同様の名称であっても、会計専門職として必要な専門知識・論理的思考力などを得るための授業科目であるとしています。したがって、受験対策は、これらの授業で身につけた知識をもとに、各自で行うことになるでしょう。また、税理士試験の科目免除に関してですが、国税庁が示す免除の要件には該当しないとしています。将来的に科目免除を受けられるかもしれませんが、現時点では消極的な見解のようです。 |
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3, 入試について(財務会計の勉強の仕方) 〜KALSからのアドバイスも含めて〜 |
入試についてですが、AO入試に関しては既に出願が終わってしまったため、今年度受験することはできません。したがって、ここでは一般入試に関してだけ説明、アドバイスしたいと思います。
一般入試は、一次試験と二次試験に分かれています。一次試験は、筆記試験ですが、ここでは4問中2問解答するという形式です。出題内容は、財務会計に関するものが3問、管理会計に関するものが1問で、簿記は出題されないようです。しかし、入学時までに日商簿記検定2級程度の知識を習得することを求めています。二次試験では、口述試験が行われます。そして、出願書類の1つとして、志望理由書の提出が求められています。
一次試験は、簿記の出題が無いということで、今まで簿記や会計学を勉強したことない方にも受験しやすいと思います。極論をいえば、財務会計を抜け目なく勉強し、2問を出題意図に沿った解答ができれば、一次試験に関しては通過できるのではないでしょうか。ただ、大学院受験はそう簡単にはいかないものです。また、簿記は出題されないけれど、例えば、『キャッシュ・フロー計算書を間接法で作成しなさい』という問題が出題されたら、理論だけを勉強していた受験生は、拍子抜けしてしまうことでしょう。そこで今回は、法政大学を受験される方に限らず、他大学を受験される方も含め、会計学の初学者(当然、初学者以外にもですが)にお勧めの本を紹介したいと思います。
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(1) 桜井久勝『会計学入門 日経文庫』日本経済新聞社,2001年(903円)
(2) 桜井久勝『財務会計講義 第5版』中央経済社,2003年(4,515円) |
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この著者は、現在、公認会計士試験の簿記論の試験委員をされている教授ですが、文章が明快・簡潔で大変わかりやすいです。2冊挙げたのには理由があります。まず(1)を読んでください。新書版なので、数時間で読み終わることでしょう。これを2,3回読むことによって、財務会計がどのようなものなのか、ということが大まかにわかります。『森を見る』という作業です。次に(2)を精読してください。説明がほぼ同じような文章ですが、詳細になっており、さらに(1)で網羅していなかった分野も説明しています。『木を見る』という作業をするのです。そしてこの本の内容を残り2ヶ月程の間で、インプット、そしてアウトプットする練習をしてください。十分入試には対応できますし、この本をすべてマスターできれば、公認会計士試験、税理士試験の財務諸表論の理論試験に関しては合格レベルに達していると言っても過言ではありません。
次に、志望理由書についてですが、(1)会計専門職を志望する理由および大学院終了後の希望、(2)国家試験、資格試験、職歴、学業成績等に関する自己アピール、(3)その他、(1)と(2)に当てはまらないもの、という3点を書くこととなります。(1)については、過去の特集でも何度も述べていますが、お決まりの質問です。論理的な記述を心がけてください。(2)については、なるべく余計なことを書きすぎず、簡潔に書くことです。(3)については、何を書いてもいいというわけではないでしょう。『志望理由書』なのですから、それを沿った内容を書かなければいけません。二次試験の口述試験は、これら3点の内容とある程度の学術的な質問をされることが予想できるでしょう。筆記および志望理由書の対策をしっかりすることで、口述試験の対策になるのではないかと思います。
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