アカウンティング・スクール特集 大学別レポート最後にあたる第10弾の今回は、北海道大学大学院経済学研究科会計情報専攻を紹介します。北海道大学では、東北大学と並んで国立大学で初めて会計専門職大学院を開校しますが、その内容は少数精鋭で、カリキュラムもとても充実した魅力的なものとなっています。では、さっそくその内容を説明していきたいと思います。 |
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名称
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北海道大学大学院経済学研究科会計情報専攻 |
定員
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入学定員20名(収容定員40名) |
入試概要
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・特別選抜試験(5名程度) |
出願期間 :平成16年12月13日〜12月17日 |
第一次選考合格発表日:平成16年12月24日 |
第二次選考試験日 :平成17年1月13日 |
第二次選考合格発表日:平成17年1月24日 |
・一般選抜試験(15名程度) |
出願期間 :平成17年1月6日〜1月12日 |
試験日 :平成17年2月3日 |
合格発表日 :平成17年2月18日 |
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選抜方法
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・特別選抜試験 |
第一次試験:書類審査(入学願書、志望理由書、成績証明書、健康診断書等) |
第二次試験:面接(口述)試験 |
・一般選抜試験 |
学科試験、健康診断書、成績証明書を総合的に判断して合否を決定 |
学科試験(共通科目):会計学(財務会計論、管理会計論、監査論) |
学科試験(選択科目):1.会計学(財務会計論、管理会計論、監査論) |
2.経営学 |
3.経済学(マクロおよびミクロ経済学) |
4.統計学 |
5.経営情報学
(オペレーションズ・リサーチ、経営情報論) |
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学費
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入学金 : 282,000円 |
授業料 : 520,800円 |
合計額 : 802,800円 |
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問合せ先
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北海道大学経済学部・経済学研究科 TEL.:011-706-3163 |
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1. 北海道大学会計大学院の特徴について |
北海道大学会計専門職大学院では、(1)教育内容の特徴、(2)教育方法の特徴、(3)組織的な特徴、という3つの特徴を持っています。
(1)教育内容の特徴は、さらに(a)国際的問題を扱う科目の履修必修化、(b)公的部門の会計に関する科目の重視、(c)会計4分野のバランスよい履修、(d)情報技術・情報処理教育の重視の4つに分けられます。この中でも特に注目すべきは、(b)
公的部門の会計に関する科目の重視でしょう。この趣旨は、北海道のような地方では、公的部門のもつ経済的重要性が極めて高くなっているため、これらの分野に対する会計専門職としての社会的要請に応えるために、財務会計・管理会計・監査の各分野に公的部門の会計に関する科目を開講し、この分野における教育を強化する、というものです。これは全国レベルでもいえる話です。今後、この分野に就職する会計専門職大学院修了生が大きく活躍することが期待されているのは、来年度から開校する大学すべての思惑でもあるのです。
(2)教育方法の特徴は、(a)修士論文の非要件化、(b)密度の濃い徹底した少人数教育、(c)社会的ニーズに対応した実践的教育の3つに分けられます。ここで注目すべきは、やはり前述したとおり、(b)
密度の濃い徹底した少人数教育でしょう。これは、会計専門職としての高度な専門的能力を短期間に身につけるためには、多人数による一方的な講義形式の科目履修は不適切であるとし、1学年の定員を20名に絞り込むことで少人数教育を実践する、というものです。この1学年20名という定員は、来年度開校される会計専門職大学院の中で、最も少ない人数です。これにより、教員と学生の距離がより近いものとなり、ディスカッション、指導等を含め、すべての部分で行き渡った満足のいく学生生活が送れるのではないかと予想できます。
(3)組織的な特徴は、(a)充実した教員スタッフ、(b)日本公認会計士協会と連携したリカレント教育、(c)研究基幹大学における専門職教育の3つに分かれます。ここで注目すべきは、(c)ではないかと思います。(c)
研究基幹大学は、北海道大学会計大学院の修了者が博士後期課程に進学することを認める等の措置を講じることにより、北海道大学会計大学院の独立性を保ちながらも、常に時代の要請に応えて、持続的な発展を可能とする専門職教育の望ましい途を切り拓いていく、というものです。他の大学院でも、博士後期課程がきちんと機能して、コンスタントに修了生を輩出しているところは、そう多くありません。そういった意味で、この目標を達成できる北海道大学会計専門職大学院は、大変魅力的であるのではないかと思います。
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2. 北海道大学会計大学院のカリキュラムについて |
北海道大学会計大学院のカリキュラムは、前述の特徴のところにもあるように、(a)国際的問題を扱う科目の履修必修化、(b)公的部門の会計に関する科目の重視、(c)会計4分野のバランスよい履修、(d)情報技術・情報処理教育の重視、といったものが達成されています。
(a) 国際的問題を扱う科目の履修必修化は、国際的な会計感覚、国際的な会計問題の検討能力を涵養するために、財務会計・管理会計・監査・税務会計の各分野に英語教材を利用した国際的問題を扱う科目を開講し、修了要件として少なくともこのうち1科目を必修とするものです。
(b) 公的部門の会計に関する科目の重視は、前述したとおりです。
(c) 会計4分野のバランスよい履修は、会計専門職は今後、監査業務だけではなく多様な業務に就くことが求められるめ,会計に関する基礎的な知識をバランス良く備えていることが必要になるので、偏りなく履修できるようなカリキュラムを編成するというものです。
(d) 情報技術・情報処理教育の重視は、こんにちの高度情報化社会において、会計専門職として ビジネスの先端で活動するための、情報技術に関する深い造詣を養うものです。さらに、これからの会計専門職においては、単なるビジネスツールとしての情報技術だけではなく、会計専門職に対して要請される情報技術・情報処理の理論に通暁しておかなければなりません。北海道大学会計大学院では、「IT・経営情報科目」に実務家教員を配置するなど情報技術・情報処理教育に重点をおいた教育を実施している、というものです。以上の4点の達成により、より充実したカリキュラムになっているのです。
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3. 北海道大学会計大学院の入試について 〜KALSからのアドバイスも含めて〜 |
上記の表にもあるとおり、北海道大学会計大学院の入試は、特別選抜試験と一般選抜試験の2つに分かれています。
特別選抜試験については、すでに終わってしまっているため、ここでは一般選抜試験についてのみ説明・アドバイスしていきたいと思います。まず、選考方法ですが、学科試験、健康診断書、成績証明書を総合的に判断して合否が決定されますが、ここで受験生が気になるのは、成績証明書についてでしょう。これは、どの会計専門職大学院を受験する人でも、気になる点であるかと思います。結論からいいますと、これはあまり重要視されないでしょう。勝負は、学科試験、すなわち筆記試験だと思ってください。他大学院の合格者でも、成績はほとんど関係ないという声を良く聞きますので、気にしないほうが良いでしょう。では、その筆記試験対策ですが、共通科目として、会計学が挙げられています。これも、3分野からの出題であるので、ちょっと厄介です。ただし、共通科目であるがゆえ、そこまで難易度の高い問題は出題されないかと思います。よって、以前にも紹介したような、いわゆる教科書といわれる専門書を、繰返し読み、暗記することだと思います。特に、各分野で最も基本的な事項、および最近話題になっているトピックに関しては、必ず押さえるようにしてください。次に、選択科目についてですが、勉強の効率性を考えるなら、ここでも会計学を選択することが良いのではないかと思います。しかし、理系出身者であれば、統計学や経営情報学のほうが得点できるかもしれませんし、経済学を深く学んできた方は、経済学を選択したほうが良いかもしれません。これらの科目は、計算問題が多いと思われるので、満点を取ることも不可能ではないでしょう。そういった意味では、こちらで解答できる受験生は、こちらを選択したほうが賢明かもしれません。どちらがいいかの判断は、各人にお任せします。しかし、出願時に解答する選択科目を選び、受験当日の変更は許されないということには注意が必要です。よって、あらかじめ狙いを定めて、より効率よく受験勉強をしていくよう、頑張っていただきたいと思います。
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