河合塾KALS大学院入試対策講座 大学院講座イベントレポート

KALS大学院入試対策講座 イベントレポート
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『国内MBAトップスクール合格のための入試対策ガイダンス』
講演者:河合塾KALS新宿校 小川 悦史 講師

国内MBA関連科目を担当しています小川といいます。よろしくお願いします。本日は、国内MBAトップスクール合格のための入試対策について、短い時間ですが、レジュメに基づいてお話ししていきたいと思います。本日はお忙しいところお越しいただきありがとうございます。

MBAの受験科目

では、はじめに国内MBAの受験科目について少しお話しさせていただきます。まず英語ですね、これは課される大学とそうでない大学がありますが、いずれにしても入学後は必要になってくる場合が多いと思いますので、そういう意味では英語が試験科目にある大学を受験されるというのもいいかもしれません。次に小論文ですが、これは、国内のトップスクールといわれているところではほとんど課されています。そして研究計画書と面接は、これはもう国内MBAであればほとんどすべての大学で課されるといっていいと思います。英語や小論文が課されない場合は、研究計画書と面接が直接合否に影響を及ぼすことになります。

国内トップビジネススクールとは?

さて、トップビジネススクールという場合、具体的にどこを指しているのかということですが、一橋大学大学院商学研究科、慶應義塾大学経営管理大学院ですね。早稲田大学商学研究科。他は筑波大学、首都大学東京など。関西なら神戸大学、場合によっては京都大学、などを想定しています。KALSで使用しているテキストは事務局でご覧いただけますが、ご覧いただけたらおわかりになりますとおり、一橋、慶應義塾大学の過去問題が多く収録されています。実際の講義もそれに即して進めています。KALSのMBA主要科目は「MBA論述対策」と「MBA英語」があるんですが、その両方にいえることです。

各受験科目とその勉強法

では各受験科目についてお話ししていきます。英語に関しては、まずトップスクールといわれる一橋、慶應義塾では出題されています。仮に仕事で全く英語に接していないという社会人の方にとっては、相当ハードルの高いレベルの問題ではないかと思います。実際にこれら過去問をご覧になった方がいらっしゃるかどうかわかりませんが、独学ではきついのではないかと思います。というのは、大学院の過去問題というのはどこの大学から取り寄せたものでもまず解答はないんですね。それを予備校などで、解答を確認しながら対策を講じるというのはひじょうに重要なポイントだと思います。

出題形式は、下線部訳、全訳、要約、課題文を読んで自分の意見を述べるといった形式のものが多いです。一橋の場合は毎年、内容一致に関する問題も出題されています。大学入試との違いというのは、全体的に記述式で問われることがほとんどで、細かい熟語の知識をひとつひとつ問われるような文法問題はないということです。たまに、以前、一橋で単語を当てはめるという問題がチラッと出たことがありましたが、例外的です。なので、英文に慣れるということが大事です。いってみれば、文法は知っていてあたり前という前提で出題されているので、長文読解を中心に強化していくことになります。

一橋の場合は、例年、長文がA4で3〜4枚出されます。主な設問としては、下線部訳が2題ほど、要約が1,2題、内容一致が6問前後といった感じです。要約というのは、本文があってその中の指定されたある一部分について要約するというかたちです。勉強法としては、とにかく長文に慣れるということです。経営学の知識についていえば、純粋な経営学の知識というだけでなく、広く社会科学の分野の知識が問われるような長文が出されます。いわゆる経済学も含む社会科学分野の知識ですね。背景知識の有無はひじょうに重要で、幅広い社会科学分野の知識の蓄積が重要です。一橋については以上です。

とにかく文法についてはわかっていてあたり前ということなので、もし文法が苦手とか自信がないという方がいらっしゃったら、市販の文法書か、ご自分が大学受験のときに使っていた参考書の内容を見てください。ひとつひとつ細かく解いていく必要はないです。内容を見て確認しておいてください。KALS大学院入試講座の「ミドルグレード英語」など英語科目で勉強するという方法もありますが、苦手な場合はとにかくどこかで補っておく必要があるということです。

英文に慣れ、和訳してみる、できれば実際に書いてみるのがいいと思います。頭で思っていても書いてみると思うように書けないということがありますので。英文に慣れて、経営学として何が書かれているかを把握するということですね。ミクロ的というよりマクロ的な学習が必要になってきます。

マクロといっても英語の基本的な文法や単語はもちろん必要です。文章を読んでいくにはある程度の知識が前提になりますから。一橋なんかは今から約1ヵ月後に秋入試があって、そのすぐあとに慶應があるわけですが、今の受講生には私は、とにかく今は英語をやってくれと言っています。単語ひとつ知らないだけでもつまづいてしまったりすることもありますから、試験当日まで、ギリギリまでねばって英語をやってくれということはいっています。

さて、次に小論文についてですが、これはたいていの大学院で出されます。MBAの小論文ですが、英語の場合と同様に、経営学と社会科学的知識が問われることになります。社会学、経済学も含んだ広い意味での社会科学ですが、メインはあくまでも経営学です。経済学の知識が問われることがあるといってもベタな経済学や社会学がそのまま出されるわけではないです。年金問題、雇用問題などに絡む問題が出されたりすることがあるということで、つまり社会的な時事問題の知識が必要だということです。日々、新聞で目にするような事柄ですね。ですから新聞やニュースには必ず日々目を通しておくことは必要です。ニュースですけれども、夕方とかお昼のニュースではなくて、夜やっている、ワールドビジネスサテライトのような、ビジネスマン向けのものがいいのではないかと思います。そして、ニュースや新聞の記事について、自分なりの意見を培うということです。

この辺が大学院入試と大学入試の大きな違いですが、大学院入試の場合は、絶対的な答というのはない場合が多いんですね。自分の意見をいかに論理的に伝えられるかということです。MBAと限らずどこの大学院でも研究機関ですから、研究には答えというものはなく、誰がどうやってもつっこみどころがあるのが研究です。そのつっこみどころをいかに少なくするかとかですね。知識の丸暗記ではなく、自分の意見というものを考えつつニュースや新聞を見て、自分なりに説明できるようにするということです。

「知識の丸暗記ではなく」といいましたが、では丸暗記は全く必要ないのかというとそういうわけではないんですね。よく「これって暗記しないといけないんですか?」と聞かれることがあるんですが、「暗記してください」ということです。基礎知識を構築していく段階では暗記はもちろん必要です。そこで終わるのでなく自分の意見がいえるようにということなんですね。

「PPMとは何か」「CSRとは何か」「競争戦略とは何か」というような事柄についてひとつひとつ直接出題されるかというと、その可能性は高いとはいえませんが、こういった知識があると答えに厚みが出るんです。PPMというのは事業戦略としてどういうところにもっていくか、どういう資源配分でいくかというようなことですが、PPMについては以前早稲田で出題されたことはありましたが、直接出題されないとしても、知っていると解答の仕方に大きな差が出てきます。また、このような知識があることを前提として出題もされていますから、とにかく一定のレベル以上の知識は必要だということです。

MBAにいくのに、「私はいわゆる人的ネットワークを作るために行くんだし、ケースをやりたい」という人もいますが、そうではないんですね。大学院というのはやはり研究機関なわけで、当然通過しなければならないところはあって、最低限の知識は絶対に必要なんです。

こういった経営学の基礎的な知識はKALSの講義の中でフォローしていきます。私の授業では最初はスローにやっていきます。ゆっくり進めながら、その間に基礎的な知識を完璧にしてもらいたいんです。途中から研究計画書の指導が入ってきて、最後は仕上げということで試験対策にもっていきたいと思っています。今KALSの授業ではちょうど直前期に入っていますので、相当厳しくやっていますが、最初のうちはゆっくりやってます。

それから過去問は、できるだけ早く見ておいてほしいと思います。そして解けるものはどんどんチャレンジしていってください。過去問は、自分がどのレベルまで到達しなければならないのかということを認識するためにやるんですね。過去問を実際に解いてみることで自信にもつながりますし、漠然と与えられた課題だけをこなしているよりも、モチベーション維持に役立つと思います。ギリギリになって焦らないためにも、早めに過去問をみておくことは必要です。

研究計画書について

次に研究計画書ですが、こちらはほとんどすべての大学院で課されています。必須といってもいいです。大学院でどういうことをやりたいのか、それが自分の今までのキャリアとどうつながっていて、修了後はどう展開していくのか、について書きます。MBAを志望する以上、避けて通ることのできないものです。「なぜMBAなのか?」「なぜこの大学院なのか?」ということですね。

研究計画書に絶対これという書き方はないですが、研究内容としてはオリジナリティが必要だと思います。研究計画書を元に面接が行われるので、計画書と面接は首尾一貫したものでなければなりません。計画書に書いてあることと面接で言っていることが違っていてはその時点でアウトです。計画書は自分の中でしっかり噛み砕いてきちんと消化している必要があります。志望理由というのはだいたい誰でも似たようなものですが、研究の内容はオリジナルでなければなりません。KALSでは私が研究計画書の個別指導もしていきます。計画書というのは、いざ書くとなるとなかなか難しいものなんですね。社会人の方で会社で報告書を書かれる方でも、難しいと思います。独学でやろうとすると穴だらけのものになってしまいがちですので、どこかの機関に通って準備することも結果としては早いのかなと思います。

よく大学院の入試説明会なんかに行くと、「全然勉強しませんでした」という人がいるんですが、全然まったくなにもやらずに合格するなんてことはありえないです。例えば仕事で書くことを専門としてやっている人もいるでしょうし、TOEICが900点以上の人ならもうそれだけで英語のアドバンテージがあるわけですよね。つき詰めて聞いていけば必ずなにかしらやっているんですね。全くなにもやっていないなんてことはあり得ません。

研究計画書については、完成度の高いものに仕上げていくためのテクニックというのは必ず存在します。KALSではそれを指導していきます。

面接について

最後に面接についてですが、面接は絶対どこの大学でもあります。ないところはないと思います。研究計画書に基づいて、志望理由とか、入学後の研究内容、現在あるいは将来のキャリアに関して、そしてそれがMBAとどうつながるのかというようなことについて、端的にきちんと説明できるかということです。当然ですがダラダラ話すのはダメで、端的に話さないといけないです。就職試験なんかでも同じです。端的にまず結論から言って、それに理由を肉付けしていくという感じです。

圧迫面接なんかも場合によってはありますが、最後まであきらめないで欲しいと思います。面接官は大学の先生ですから、中にはクセのある先生もいます。答えられなかったとしても不合格とは限らないし、逆に円満に終わっても必ずしも合格とは限らないんですね。ですから、嫌だなと思うことがあっても顔に出さず、切り抜けてほしいと思います。大学の先生もひとりの人間ですから、誠意と熱意をもって対応するようにつとめていただけたらいいと思います。

面接に使われる材料ですが、研究計画書、場合によっては筆記試験の小論文、推薦状がある場合は推薦状に書かれていることをもとに進められますから、何をどう聞かれても対処できるように準備しておいてほしいと思います。

最後に…

MBAというのは、入るまでも大変ですが、特に社会人の方なら入ってからがなお大変だと思います。でもその大変さは必ず報われます。社会人の方でMBAにいかれた方の話を伺ったことがありますが、この方の場合は修了後転職というわけでなく、今もずっと同じ会社で仕事されていますが、自分の仕事への興味も強くなったし、マネジメントに対する考え方が変わったというように話していました。

MBAというのは学位です。資格ではないので、それを取ったからといって何らかの仕事を独占的にできるわけでもないですが、MBAを取得した方はやる気次第でその後どのようにでも切り開いていけるものだと思います。MBAについては今も賛否両論ですが、行った人は皆一様に、行ってよかったといいます。行ってみないとわからないんですね、どれくらい大変で、どれくらいのネットワークができて、どれくらい将来の展望が開けるのかということが。行って後悔したという話は聞いたことがありません。もし今、少しでもいってみたいなという気持ちがあるなら、今ゼロであれはさすがに来月の試験には間に合いませんが、来春の試験であれば間に合いますので、是非挑戦してみてほしいと思います。

先日、私はリクルートの取材を受けまして、リクルートの「大学・大学院ネット」というサイトに、MBAの研究計画書のサンプルと解説が掲載されているので、こちらも是非ご参考までにチェックしてみてください。

大学院を志望する際に考えなくてはならないこととして、基本的なことですが、仕事はどうするの?ということもあります。仕事をしながら通うのか、やめてから通うのか。一橋は昼間の大学院ですから仕事は辞めないと通えないですが、筑波なら夜間なので仕事は続けられるとか。でも筑波は研究色の強い大学院なので計画書は相当練らないといけないとか。話すときりがないのでこの辺でやめておきます。詳しいことはまた個別に聞いてください。

以上、レジュメについてはざっと、ひととおりお話しいたしました。MBA進学が皆さんにとって意義あるものになることを心より願っています。