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研究計画書指導について


大学院入試のための研究計画書分析


KALS大学院入試対策講座 掘一講師

研究計画書とは…
研究計画書の文字数は大学院によってはまちまちである。たいていの大学院では、普通1000〜1500字程度であるといえる。したがって、最低でも2000〜3000字ほどの計画書をまず書いてみることが必要となる。短い文章を長く引き伸ばすとぼろが出て、面接のときに答えられないということがある、逆にいうと長く書いておけば面接のとき突っ込まれてもある程度答えられることができる。研究計画書とは、大学院入試の面接で重要なカギを握るものであり、一次試験が受かってもこれ次第では二次試験で落ちてしまうということが言える。二次試験で落ちる人のほとんどは、研究計画書について答えられない人だそうだ。

進学目的で変わるテーマの掘り下げ度
博士課程まで考えている、あるいは研究志望なら、志望している大学院にそのテーマを専門にしている教員がいるかどうかが重要になる。自分は何をこれから研究するのか、ということを書くのだが、研究計画書の「テーマ」は指導教授の決定とも深く関わってくる。いくら素晴らしいテーマを掲げても、志望した研究科、専攻に指導できる教授がいなければ、「教える人もいない、この大学院に来る意味もない」ということで弾かれてしまう。そこのところは注意したい。

資格目的で院を考えている、社会人入試で仕事と両立させながら学びたい、入学してからテーマを見つけたい、という場合はあまり教員の専門にこだわる必要はなくなる。
入学希望者の多い大学院(東大・一橋大など)は、入学してからいろいろな授業を受けさせ、指導教授を選ばせる期間を設けている。こうした院は勇み足で勝手な教授選びをしない方がいい。大学院全体のルール破りになるからだ。
また、資格目的で受験する人が多い院は、特定の教員に負担がかからないように、全体で計画的に指導する体制になっていたりする。やはり教員の専門は、入学してから知る人が大部分だ。

社会人はなおさら内部の環境はわからないし、「教員の専門を知った上で出願せよ」と言う社会人向け大学院はまず存在しない。したがって研究テーマはよほど偏った分野でなければ、ごくありふれたテーマを選んでおくことが最も賢明だし、どこでも指導可能な無難なテーマにして出願する人が大半だ。

研究テーマは専門書から「見つけ出す」
まずは自分の研究したい領域の関連文献を読むことだ。これを怠ると、自分の研究しようと思っていたことが、実はすでに結論が出ていたということがあったり、オリジナリティーあふれる新しい学説が出せたとしても、素人の単なる妄想程度に扱われてしまうこともあるからだ。

自分の研究したい領域の一般書籍、専門書籍はもちろんのこと、学術雑誌にも目を通し、自分の研究対象分野の動向は必ず押さえておく必要がある。そうすれば、他の領域との関わりや研究の流れなども確認できる上、今よりもっと魅力的な研究テーマが見つかる可能性もあるだろう。

それに、研究テーマがまだはっきりと決められていない人も、ヒントが見つかって、方向性が決定するかもしれない。
なお、専門書籍や学術雑誌は、小さい書店や図書館にはあまり置いてはいないが、大学の図書館などに行けば見ることができる。
他にも、インターネットなどを使用して検索してみると、分野によってはかなりの情報を入手できるので試してみるとよいだろう。
次に「研究計画書」の作成を念頭において、学部の教科書を読んでおくことが大切だ。なぜそれが必要かと言うと、どの程度の用語を使えば良いかの目安になるからだ。
書類選考にあたる教員が、偶然にも自分と全く同じ研究領域であるとは限らない。研究が細分化されている現状では、あまりにも詳しい専門用語を用いるのは不親切だ。かといって、小学生に説明するように書いたのでは知識がないのかと誤解されかねない。

そこで、同じ分野の学部の教科書(大学院でその分野を担当している教員が学部生向けに書いたものがベスト)を読んでおき、そこに書いてある用語は使用する、書いてなければ自分なりの言葉で補足を加えながら書く、といったようにする。そうすれば、「不勉強」でも「知ったかぶり」でもない安全なレベルの用語を使用していると見なされるだろう。
また、学部と全く違う分野で大学院を受験する人にとっては、以上のことに加えて、大学院での常識を押さえられるという利点もある。

実際に書く上で注意すること
まずは、文体について。「です・ます」調で書く人がいるが、論文や研究計画書というのは「だ・である」調で書く。次に、単なる知識の解説に陥らないことだ。底の浅い知識を披露されたのでは、その分野の専門家である先生たちには退屈なだけだ。

研究テーマ(題目)は「消費税の福祉目的税化に関する一考察」というように簡潔に一行程度にする。あるいは、「消費税の一考察 − 福祉目的税化に関して − 」というように、ハイフンもしくは( )で内容を付け加えても大丈夫である。

巻末には参考文献を明記するのが基本である。中心となった専門書を1冊か、3冊程度までを目安に、著者名(または翻訳者名)「書名」(出版社名)、(出版年)で挿入しよう。
なお、資格目的で院を考えている場合や、仕事と両立させながら学びたいという場合はあまり教員の専門にこだわる必要はない。その場合は、よほど偏った分野でなければ、ごくありふれたテーマを選んでおくことが賢明である。実際にはどこでも指導可能な無難なテーマにして、複数の大学院を受験する人が多いようだ。

研究計画書に字数制限がある場合は、必ず守らないといけない。○○字程度というのは、プラスマイナス10%以内なら許容範囲のようだ。つまり1000字程度なら、900字〜1100字の範囲内で書くことだ。ただし、基本的に多めに書いた方が、特に私大では意欲面で評価されるようだ。

書き出したら、自分の意見や主張は排除! ひたすら「これだけ勉強しました」というのが分かるようにしたい。すでに誰かが開拓している研究分野を、本や論文から見つけ出し、それを発展させたり、関連資料を取りまとめサーベイ・リサーチ(文献調査)としてまとめるという姿勢が基本である。審査する側も、果たしてそういう研究が可能なのか、そもそも自分達に指導できるのかと心配するため、すでに方法論が確立されていることが意外に重要である。

研究計画書を充実させることが面接対策にもなる
計画書提出からおよそ1カ月程度後に行われる面接試験では、研究計画書の内容に関する質問が多く飛び出す。そこで、願書を提出する前に、研究計画書のコピーは必ず取っておこう。どこを質問されても1分以内に答えられるように、リハーサルをしておくと安心できる。大学院進学の動機、その大学院を選んだ理由といった質問が予想される項目については、想定問答集を作成するとさらに安心である。

面接では、研究計画書の内容以外に、筆記試験の答案に関する質問、専門分野に関する口頭試問も行われる。なかには、受験生にとって意地の悪い質問も出るが、そこで沈黙してしまうようでは合格できない。面接官は、知識の量だけを問うているのではなく、問題に対して真摯に、前向きに思考を巡らせることができるかどうかもチェックしている。その上で、自分なりに勉強してここまではわかったが、その先は大学院で勉強したいということを説明するのがベストである。

KALSキャリアサーチングより抜粋