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青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 国際マネジメント専攻 修士1年 矢部多恵子さん(KALS元受講生)に訊く
経営学を学んで人生もマネジメント

○進学を決意するまで、そして学校選び
――矢部さんは、現在どのようなお仕事をなさっているのですか?
 矢部 外資系の乳業会社で、「技術営業」をしています。
 
――「技術営業」とは、聞き慣れない言葉ですね。具体的にはどのようなお仕事なのですか?
 矢部 私は農学部の出身で、専攻は食品化学でした。学部を卒業した後、食品会社に就職し、研究開発の仕事をしていましたが、4年ほど前に今の会社に転職しました。
 今働いている乳業の会社では、主に牛乳から製造した食品原料を商品として扱っています。端的に言うと、牛乳の栄養素を取り出して売っているんです。そして私は、その成分を商品として、営業活動を行なっているんです。

 現代の食品って、本当にハイテクなんですよ。素材に特定の栄養素を添加し、栄養価を高めて販売されている食品がたくさんあります。牛乳の栄養素は、そういった食品に添加されるわけです。

 ですから仕事のイメージとしては、食品会社に行き、研究開発担当者に新製品のコンセプトや新技術を提案するという感じですね。話が話なので、技術的な知識がないと上手に営業することが出来ません。つまり、技術的な背景をもちつつ営業を行う、「技術営業」が必要となるわけです。
 
――なるほど。しかしお仕事の内容は、直接、経営学とは関連しないような印象も受けます。どのようなきっかけで、大学院進学を目指されたのですか?
 矢部 会社が外資系なので、本社の偉い人がみんなMBAホルダーなんです。そのせいか、本社から送られてきた「経営戦略」に目を通すと、日本の経営とは違う何かを感じるんですね。まず、そこから経営学に関心を持ちました。

 経営戦略を立てるための資料を、こちらから本部に送ることもあります。そういった資料づくりを行なっているうちに、自分にも経営学的な知識があるといいのに、と思うようになりました。もうひとつは、営業の仕事をするようになってから、自分がビジネスについて何も知らないということに気づき、仕事の質を上げるためにも、勉強の必要性を感じたのです。

 転職したばかりの頃は、英語を学んだり、製品、技術に関する知識を勉強することに手一杯でした。少し落ち着いてきた一昨年の春くらいから、経営学への関心が強くなってきましたね。
 
――矢部さんが実際に大学院を受験されたのは、今年の2月だそうですね。思い立ってから受験するまで、どのように準備を進められましたか?
 矢部 思い立ってすぐに受験勉強を始めたわけではありません。最初に行なったのは、情報集めでした。当時、『エグゼクティブ』という雑誌の編集部が、大学院進学に関するセミナーを主催していました。一昨年の秋、そのセミナーへ参加したのが始まりでした。

 その頃は、まだ進学についていろいろと迷っていましたね。仕事と両立出来るのかとか、入試に合格出来るのかとか…。大変なのは目に見えていますから、そこまでして大学院に行きたいのかどうか、自問自答していました。社内の外国人のMBAホルダーに、いろいろと聞いてみたりもしました。

 受験を決意したのは、昨年の夏です。偶然、日大のMBAコースで勉強中の方からお話を聞く機会があり、聞いているとMBAでの勉強がとても面白そうだったんです。自分も絶対、大学院へ行きたいと思いました。実は、KALSを勧めてくださったのもこの方だったんです。

 秋にKALSに入学してからは、英語と経営学、会計学の授業を取りました。会社が外資系なので、英語力はそこそこあったのですが、専門科目の勉強は本当に初めてでした。理解が進まなくて大変なときもありましたが、入学した後、受験時代に勉強したことが役に立っています。
 
――最近は経営学系の大学院がたくさんありますよね。数ある大学院の中から青山学院を選ばれた理由をお聞かせ下さい。
 矢部 最初は、アメリカの大学で学ぶことを考えました。いくつかの大学が「日本校」を設置していますから、そこに入学しようかと思ったんです。

 でも、アメリカのMBAコースには「ランキング」が付けられ、最近では、単にMBAを取ったというだけでなく、どの学校で取ったかということが重要になってきています。となると、ランキング下位、あるいはランキング外の学校でMBAをとっても、あまり意味がない気がしたんですね。それだったらいっそ日本の大学で勉強したほうがよいのではないかと思いました。また、英語で学ぶより日本語で学んだほうが、深く勉強出来るというメリットがあります。

 そこで、受験先を日本の大学院にしぼり、「働きながら勉強できる」ことを条件に大学選びをした結果、法政と青山学院を受験することにしたんです。

 青山学院は、「ビジネススクールのグローバルスタンダード」を目指しているとのことで、インターナショナルな雰囲気が気に入りました。法政の大学院は、どちらかというと専門を深く追究するというスタンスで、青学に比べるとアカデミックに近い雰囲気があるという印象を受けました。幸い両方に合格したので選択にはかなり迷いましたが、最終的に、さきほど述べたような青学の雰囲気が気に入ったので入学を決めました。


○仕事と学業の両立、同期生の職業
――大学院生活についても、いろいろとお伺いしたいと思います。週にどのくらいのペースで通学されているのですか? また、仕事と学業の両立は、やはり大変ですか?
 矢部 前期は、平日に3日と土曜日に通学していました。後期は一日増えて、平日4日と土曜日に通学しています。授業時間は、平日が18時30分から20時。土曜日は9時から16時15分までです。

 両立については、「思ったよりは何とかなっている」というのが実感です。というのは、昨年KALSに通うようになった頃から、なるべく仕事を増やさず、早めに退社するというペースを作ってきたからです。上司も同僚も、私が大学院に通っていることを知っていますが、理解してサポートしてもらっています。外資系なので、やるべきことをやり、成果さえ出していればいいという雰囲気なんですね。もしかすると、「わざわざ大金と時間をかけて大学院に行くなんて、もの好きだ」と思っている人はいるかも知れませんが…。

 ただ、そうはいっても時間にゆとりがないのも事実です。忙しい時期には、20時に授業を終えてから、会社に戻って仕事をすることもありました。授業を受けたあと、終電近くまで仕事をするわけですから、やはり疲れましたね。また夏休みはすべて、集中講義とテスト勉強に使いました。プライベートな生活が、相当犠牲になっていると思います。
 
――同期の方は何人くらいいらっしゃるのですか? また、どのような職業の方が多いのでしょうか。
 矢部 同期の人数は、「国際マネジメント研究科」全体で57人です。この研究科には国際経営、ファイナンスという2つのコースがあるんですが、3対2くらいの割合で、国際経営コースの院生が多くなっています。
 職業についてですが、ファイナンスコースはやはり銀行や証券など、金融業界の人が多いですね。逆に、国際経営コースにはさまざまな業界の出身者がいます。具体的にいうと、メーカー、金融、IT関連産業、商社などです。

 もう一つ、青学のMBAコースの特徴として、学部卒業後すぐにでも入学できるという点があります。ですから、大学を出たての若い同期生も10人くらいいます。そのほかに留学生もいますし、とにかく、さまざまなバックグラウンドをもつ人が集まっています。これは、大学側の狙いでもあるようです。

 話が少しそれるのですが、同期の全体的な特徴として、一流大学卒、一流企業勤務の人が多いんです。モチベーションが高く、夢や野心を持っていて、エネルギーにあふれた人が多いです。私は自己啓発的な感覚で大学院に入学したので、周りの優秀な人たちから刺激を受けています。
 
――学部を出たての同期もいるとのお話でしたが、どのくらいの年齢層の方が一番多いのですか?
 矢部 ざっと見た限りでは、32〜33才くらいの人が多いかと思います。でも、定年後に入学してきたという方もいらっしゃいますし、年齢層の幅はかなり広いですね。


○授業の様子、修士論文etc.
――次に、勉強についてお伺いします。大学院の授業はいかがですか?
 矢部 科目の履修は選択制なので、授業の感想は人によってまちまちだと思います。私は、経営学や経済学を学んだ経験がほとんどなかったので、前期はなるべく基礎的な科目をとるようにしていました。その結果、ゼミ形式よりもレクチャー形式の授業が多かったですね。後期に入ってからは、応用的な科目もとっています。前期にくらべて、授業の準備に時間がかかっています。
 
――ビジネススクールでは実務家が授業を担当されることが多いようですが、青学はいかがですか?
 矢部 実務家の先生がたくさんいらっしゃいます。実際の経験に裏打ちされた講義はとても面白いです。実務家の先生は、総じて社会人に理解があるんですよ。「働きながら通学するなんて大変だね」という姿勢で接して下さいます。それはありがたいことなんですが、同期の中には「甘やかされている」という人もいます。
 
――修士論文を書く準備は、もう始めていらっしゃるのですか?
 矢部 青学のビジネススクールでは、修士論文が必修ではないんです。「修論」「課題研究」「マネジメントゲーム」の中から、1つを選べばいいことになっています。

 実は、卒業するための条件があと2つあるんです。1つは単位をそろえることですが、もう1つが「英語」なんですね。TOEICで730点以上とらなければ、卒業できないんです。そのため、TOEICの準備をするための授業も用意されています。730点をとった時点で、その授業には出なくてよくなるというわけです。

 話を戻しますが、私は現在ゼミに所属していて、修士論文を意識しています。でも、もしかすると課題研究で修了することになるかも知れません。経営学の基礎がないので、みんなについていくだけで精一杯で、前途多難です。課題研究というのは、日々携わっている実務の中からテーマを見つけ、それを文章にまとめるというものです。また、マネジメントゲームは青学の売りものにもなっていますが、学内とカーネギーメロン大学でいくつかのチームを編成し、各チームで仮装会社を経営して、その業績を競い合うというものです。
 
――矢部さんの研究テーマとは、どのようなものなのですか?
 矢部 研究計画書には、「生産財のマーケティング」について研究したいと書きました。何も知らずに、仕事上の問題点を書いたという感じでした。

 「生産財のマーケティング」というのは、実際とても難しいんです。マーケティングというのは、簡単にいうと「売るためのしくみをつくる」、「売り込みに行かなくても勝手に売れるようなしくみをつくる」ということです。「生産財」でなく「消費財」なら、これはそれほど難しいことではありません。消費者が何を欲しがっているのか分かりやすいですし、今何が売れているのかということも分かります。しかし、「生産財」つまり原料の場合、話はそう簡単ではありません。消費者のニーズをつかみにくいですし、口コミで「あの原料がいいらしい」という情報が広がることもあり得ません。一体どうすれば「売るためのしくみ」を作れるのか、よく分からないんです。
 だからこそ研究したいと思ったんですが、勉強しているうちに、どこから手をつければいいのか悩むようになってしまいました。
 
――印象に残った授業について、具体的にお聞かせ下さい。
 矢部 前期に受講した授業の中では、「経営組織論」が特に面白かったです。先生がしっかり準備をして下さっていて、非常に密度の濃い講義でした。ビジネスの様々な問題を、組織論的な観点から鮮やかに分析してくださり、毎週目からウロコが落ちました。とても勉強になりましたね。以前は組織論にそれほど興味をもっていたわけではなかったんですが、講義をうけてからは関心をもっています。後期も、同じ先生の「国家と企業」という講義をとっています。グローバリゼーションの進行に伴い、国家と企業の役割がどう変わっているかということを考える講義なんですが、こちらもとても面白いです。

 経営学の勉強全体について言えることですが、普通ならば経験するだけで終わってしまうような事柄を、体系だてて整理することができるのがとてもいいと思います。実際の仕事のなかでも、課題や問題点を整理するときにも、勉強した経営学の知識が役に立ちます。そういった意味で、業種、職種にかかわらず、誰が勉強しても役立つ学問だと思いますね。


○これからビジネススクールを受験する方へ
――最後に、これから受験する方への情報提供とアドバイスをお願いします。まず、試験についてお伺いします。青山学院と法政を受験されたということでしたが、それぞれの学校について、試験の感想をお聞かせ下さい。
 矢部 まず青山学院についてですが、「ペーパー試験の成績が良ければ受かる」という感じではありません。どちらかというと、受験生の熱意や人物を重視しているのではないかと思います。試験科目は論文2題と英語、面接でした。そのほか、事前に研究計画書を提出します。

 論文試験は、普段から問題意識をもってビジネス書や新聞を読んでいれば、何かしら書けるような問題でした。昨年までは経営学の専門知識を問う問題だったので、今年は少し傾向が変わったのかも知れません。英語については、来年度から試験の実施要領が変わるようです。試験の代わりに、TOEICなどの語学資格のスコア提出が必須になるという話を聞いています。青学の場合、卒業要件にも英語が絡んできますし、英語力はかなり重視されていると思います。

 面接は約15分でした。口頭試問的な要素はあまりなく、主に受験生の意欲をみているようでした。研究計画書は志望理由書といっしょになっていて、それほど分量を要求されません。私の場合、面接で研究計画書の内容についてつっこまれることもありませんでしたし、どうもあまり重視されていないような印象がありました。

 法政の試験は、青学とは対照的でしたね。試験科目は、経営・経済に関する英文和訳が2題と面接です。研究計画書が重視されていて、面接はそれについての口頭試問という感じでした。KALSでの勉強がストレートに役立ったのは、どちらかというと法政のほうだったかも知れません。
 
――これから受験される方へ、何かアドバイスをお願いします。
 矢部 経営学を勉強すると、仕事だけでなく、自分の人生設計と人生のマネジメントにも役立ちます。ぜひいろいろな方に勉強していただきたいと思います。相当学費がかかりますが、こんなに勉強が楽しくて、友達もたくさん出来るなら、かえって安いものではないかと思います。

 学校にはさまざまなバックグラウンドを持った人が、同じ志や夢をもって集まっています。社会人になってからある程度の年月が過ぎると、どうしても生活や考え方が固まって来ますが、様々な人と交流したり、多種多様な考え方を吸収することによって、自分にもまだいろいろな可能性があるのだと思えるようになりました。
 仕事と学業の両立は、その気になれば絶対に何とかなります。関心のある方は、ぜひ挑戦してみてください。ただ、学校選びは慎重に行なった方がいいと思います。一口に「ビジネススクール」と言っても、大学によってカリキュラムもカラーも異なります。情報集めをしっかり行い、ご自分に合った学校を選んでください。
 
――お忙しいところ、長時間おつきあいいただき、どうもありがとうございました。
(談/2001年9月29日)

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