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法科大学院を修了すれば、その後に待っているのは司法試験です。法科大学院を修了したことを前提とした「新司法試験」は、2004年度入学の法学既修者(2年コース)の修了後、つまり2006年度から実施されます。現行の司法試験も5年間並存しますが、2011年には新司法試験に一本化され、完全に廃止されます(表3参照)。
司法制度改革の柱として、裁判官・検察官の大幅増員を含め、現在の法曹人口2万人を2018年には5万人にまで増やす計画があります。司法試験の合格者についても、2010年度には現在の2〜3倍程度の3,000人規模になる予定です。現行の司法試験は2004年度と2005年度に1,500人まで合格者の増員が行われ、新試験の登場後は削減されていきます。その削減幅、新司法試験との合格者数の比率については、まだ明らかになっていません。
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● 新司法試験について
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新司法試験は、択一試験と論文試験という構成になり、毎年5月に実施される予定です(表4参照)。
試験科目としては、公法系(憲法、行政法)、民事系(民法、商法、民事訴訟法)、刑事系(刑法、刑事訴訟法)、選択科目(労働法、知的財産法、倒産法、消費者保護法、環境法など)となる方向です。法務省内の司法試験委員会(旧:司法試験管理委員会)の決定により、「新司法試験問題検討会」が設置され、2004年4月には第1回会合が開かれています。具体的な出題内容・出題範囲についての検討が、まさに始まったところです。
受験生にとって気になることは、新司法試験では法律上、受験回数が5年以内に3回までと制限されることです。ただ、ここで合格できなくても、再び法科大学院を修了するか予備試験(後述)に合格するかで、再挑戦することはできます。なお、法科大学院在学生でも現行の司法試験を受験することは可能ですが、その回数は新司法試験に移行後、1回としてカウントされますので注意が必要です。
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● 予備試験と新司法試験の合格率 |
現行司法試験が2010年を最後に廃止されるのを受けて、2011年から「予備試験」が始まります。法科大学院を修了しなくても、この予備試験に合格すれば新司法試験が受験可能になります。予備試験は、経済的事情などから法科大学院を経由しない人にも法曹資格への途を与えるべきであるとの観点から導入されます。しかし、法科大学院修了者と同等の学識や能力、実務の基礎的素養を有するかを判定しますので、かなり厳しい試験になることは間違いなさそうです。
ところで、新司法試験については、当初、法科大学院修了者の7〜8割が合格するものと想定されていました。しかし、法科大学院の入学者総数が約6,000人(2004年度の場合)なので、いくら合格者数が3,000人にまで伸びても、合格率は単純計算で約5割になります。2006年度の第1回試験は2004年度入学の既修者しか受けませんので、合格率は高くなるかもしれませんが、その後は3割以下(一説には15%程度)まで落ち込むのではないかとも言われています。
2010年度までは現行司法試験が存続しますし、2回目・3回目の新司法試験受験者も出てくることでしょう。法科大学院によっては「合格者が1人も出ない」など、かなり厳しい事態も十分予想されます。 |
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